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風営法違反(深夜営業・無許可営業)でラウンジ店長らが逮捕!

弁護士 若林翔 2021/04/09更新

大阪のラウンジ店長らが風営法違反で逮捕された。

緊急事態宣言下での時短要請に応じず、深夜営業を行っていたと言うことだ。

だが、このニュースでは風営法についての詳細が不明確なので、そのあたりも含めて解説したい。

ラウンジ店長らが風営法違反で逮捕されたニュース

違法深夜営業疑いでラウンジ店長ら4人逮捕 府の時短要請にも応じず 大阪/京橋

大阪・京橋の繁華街で違法な深夜営業を行っていたなどとして、警察はラウンジの店長ら4人を逮捕した。この店は緊急事態宣言中も深夜まで営業を続けていた。

7日夜、大阪・京橋の国道1号線沿いの店に次々と入っていく約30人の捜査員。関係者の男が、警察に連れられ店から出てきた。

風営法違反などの疑いで摘発されたのは、ラウンジ「kyobashi Lapis lazuli」で、店長の〇〇容疑者ら4人が逮捕された。

〇〇容疑者らは緊急事態宣言が出ていた2月25日深夜から翌26日未明にかけ、17歳の少女に接客をさせたうえ、風俗営業の許可を受けずに深夜営業をするなどした疑い。

7日も午後10時を過ぎても営業していて、大阪府の時短要請には一切、応じていなかったとみられる。警察は、店の営業実態などについて、調べを進めることにしている。

読売テレビ 2021年4/8  https://news.yahoo.co.jp/articles/46c3b3bdd10cc6f78748632feff919222e3c963d

深夜酒類提供飲食店営業(風営法)とは

本件ニュースでは、「風俗営業の許可を受けずに深夜営業」をした疑いと記載されている。

しかし、風営法では、深夜営業の許可というものは定められていない。

深夜酒類提供飲食店営業とは、深夜(午前0時から午前6時まで。風営法13条1項参照)における営業で、バー、酒場その他客に種類を提供して営む飲食店営業(営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く)をいう

巷では、深酒営業などとも呼ばれている。

風営法で定める深夜酒類提供飲食店営業は、許可制ではなく届出制(風営法33条1項)だ。

そのため、深夜営業の点を捉えて風営法違反であるということであれば、無届営業ということになる。

無届営業の罰則は、50万円以下の罰金(風営法54条6項・33条1項)だ。

風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)

(営業時間の制限等)
第十三条 風俗営業者は、深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。以下同じ。)においては、その営業を営んではならない。ただし、都道府県の条例に特別の定めがある場合は、次の各号に掲げる日の区分に応じそれぞれ当該各号に定める地域内に限り、午前零時以後において当該条例で定める時までその営業を営むことができる。

(深夜における酒類提供飲食店営業の届出等)
第三十三条 酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者は、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 営業所の名称及び所在地
三 営業所の構造及び設備の概要

第五十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
六 第二十七条第二項(第三十一条の十二第二項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)、第三十一条の二第二項(第三十一条の七第二項及び第三十一条の十七第二項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)又は第三十三条第一項の規定に違反して、届出書を提出せず、又は第二十七条第二項、第三十一条の二第二項若しくは第三十三条第一項の届出書若しくはこれらの届出書に係る第二十七条第三項(第三十一条の十二第二項において準用する場合を含む。)、第三十一条の二第三項(第三十一条の七第二項及び第三十一条の十七第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三十三条第三項の添付書類であつて虚偽の記載のあるものを提出した者

ラウンジの無許可営業の可能性は?

前述のごとく、深夜酒類提供飲食店営業は、届出制だ。

そのため、深夜に営業をしていたというニュースの記載を見ると無届営業で逮捕されたようにも読める。

もっとも、ラウンジという営業形態からすると、無許可営業の可能性も考えられる。

ラウンジ、ガールズバー、スナックなどの営業において、キャストである女性が客に対して「接待」をする場合には、キャバクラなどと同様に、接待飲食店営業(1号営業)の許可を取る必要がある。

すなわち、本件でも、ラウンジ嬢が「接待」をしていたのであれば、接待飲食店営業(1号営業)の許可なく営業をしていたとして、無許可営業となる。

どのような行為が、「接待」に該当するか、その定義や判断基準については、以下の記事を参照してほしい。

風営法の接待とは?ガールズバー逮捕の分かれ目となる3つの解釈基準

接待飲食店営業(1号営業)の場合の営業時間と罰則は?

このラウンジが接待飲食店営業、風俗営業の1号営業だった場合、営業時間は午前0時(地域によっては条例で午前1時まで延長されている場合もある)までに限定されている(風営法13条1項)。

午前0時(or午前1時)から午前6時までの深夜における営業が禁止されているのだ。

しかし、この風営法の営業時間の違反、深夜営業・時間外営業については、罰則は定められていない

キャバクラやホストクラブが、深夜営業・時間外営業で逮捕されたようなニュースが流れることがあるが、これは、深夜営業・時間外営業をしたから逮捕されているわけではない。

正確には、深夜営業・時間外営業について、立ち入り調査に来た警察官の立ち入りを拒否したとして逮捕されているのだ。

(営業時間の制限等)
第十三条 風俗営業者は、深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。以下同じ。)においては、その営業を営んではならない。ただし、都道府県の条例に特別の定めがある場合は、次の各号に掲げる日の区分に応じそれぞれ当該各号に定める地域内に限り、午前零時以後において当該条例で定める時までその営業を営むことができる。

一 都道府県が習俗的行事その他の特別な事情のある日として当該条例で定める日 当該事情のある地域として当該条例で定める地域
二 前号に掲げる日以外の日 午前零時以後において風俗営業を営むことが許容される特別な事情のある地域として政令で定める基準に従い当該条例で定める地域

(報告及び立入り)
第三十七条 省略

 警察職員は、この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入ることができる。ただし、第一号、第二号又は第四号から第七号までに掲げる営業所に設けられている個室その他これに類する施設で客が在室するものについては、この限りでない。
一 風俗営業の営業所
二 店舗型性風俗特殊営業の営業所
三 第二条第七項第一号の営業の事務所、受付所又は待機所
四 店舗型電話異性紹介営業の営業所
五 特定遊興飲食店営業の営業所
六 第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業の営業所
七 前各号に掲げるもののほか、設備を設けて客に飲食をさせる営業の営業所(深夜において営業しているものに限る。)
3 前項の規定により警察職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

第五十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
七 第三十七条第二項又は第三十八条の二第一項の規定による立入りを拒み、妨げ、又は忌避した者

風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

風営法の営業時間や時間外営業の罰則等については、以下の記事を参照して欲しい。

風営法の営業時間一覧!違反した時間外営業・深夜営業の罰則も徹底解説

 

未成年(ミテコ)雇用の違法性は?

本件のニュースでは、「17歳の少女に接客をさせた」点も指摘されている。

ナイトビジネスの世界では、18歳未満の未成年について、「身分証を提示できない子」の略称で、「ミテコ」と呼ぶことがある。

本件では、そのミテコである17歳の少女を接客させている。

深酒営業の場合には、午後10時以降については、18歳未満の未成年・ミテコに接客をさせてはならず、違反した場合には、1年以下の懲役、100万円以下の罰金となる。

(禁止行為等)
第二十二条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
三 営業所で、十八歳未満の者に客の接待をさせること。

(深夜における飲食店営業の規制等)
第三十二条 深夜において飲食店営業を営む者は、営業所の構造及び設備を、国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
3 第二十二条第一項(第三号を除く。)の規定は、飲食店営業を営む者について準用する。この場合において、同項第一号及び第二号中「当該営業」とあるのは「当該営業(深夜における営業に限る。)」と、同項第四号中「業務」とあるのは「業務(少年の健全な育成に及ぼす影響が少ないものとして国家公安委員会規則で定める営業に係るものを除く。)」と、同項第五号中「十八歳未満」とあるのは「午後十時から翌日の午前六時までの時間において十八歳未満」と、「を営業所」とあるのは「を営業所(少年の健全な育成に及ぼす影響が少ないものとして国家公安委員会規則で定める営業に係るものを除く。)」と、「第二条第一項第五号の営業に係る営業所にあつては、午後十時から翌日の午前六時までの時間において客として立ち入らせること」とあるのは「保護者が同伴する十八歳未満の者を客として立ち入らせる場合を除く」と読み替えるものとする。

第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
四 第二十二条第一項第三号の規定又は同項第四号から第六号まで(これらの規定を第三十一条の二十三及び第三十二条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

店舗経営者側の年齢確認義務については、以下の記事も参照してほしい。

風営法と未成年(18歳未満・みてこ)の年齢確認義務について解説!

 

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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