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風営法立ち入り コロナを理由は違法!

弁護士 若林翔 2020/07/19更新

菅官房長官は民放の番組で,接待を伴う飲食店を中心に新型コロナウイルスの感染確認が相次いでいることを受け,風俗営業法などに基づく立ち入り調査に合わせて感染防止策の徹底を促していく考えを示したとのことだ。

しかし,風営法上,立入りは,風営法上の目的を達成するために必要最小限のものしか認められておらず,コロナウイルスの感染防止等,風営法以外の行政目的のために調査や立ち入りをすることは認められていないのだ!

詳細を解説する前に,まずは,官房長官の見解を示したニュースを見てみよう。

「コロナで風営法に基づく立入りができる」菅官房長官

菅官房長官「コロナ特措法改正必要だと思う」 現状は風営法活用で対応

菅義偉(すが・よしひで)官房長官は19日午前のフジテレビ報道番組で、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に関し、同法に基づく休業要請に伴う補償や、要請に応じない事業者に罰則を適用する法改正を将来的に実施する必要があるとの認識を示した。

番組で共演した橋下徹元大阪市長から同法改正の必要性について認識を問われ、「私自身も必要だと思っている」と述べた。

ただ、菅氏は現時点で感染拡大が確認されているのは、いわゆる「夜の街」の中でもホストクラブやキャバクラなど「ピンポイントになっている」と指摘。「こういった場所は風営法に基づいて立ち入りができる」と語り、現状では風営法に基づく立ち入り検査を活用して、感染拡大防止対策を講じていく考えを示した。

一方、「ポスト安倍」を目指す意欲については「全くない」と重ねて否定。「安倍晋三政権をつくった一人だから、責任を持っていきたい」と述べ、今後も安倍首相を支える意向を示した。

7/19(日) 12:36配信 産経新聞 https://news.yahoo.co.jp/articles/48d1dfdd9132f6b0ddd2e59ee589ed2fea490a7b

立入りについての風営法・解釈運用基準の規定

風営法では,キャバクラ,ホストクラブ,ガールズバー,風俗店などの業種について,風営法に基づく立入調査や資料の提供を求めることができると規定されている。

ただ,この風営法に基づく立入りは,風営法の施行に必要な限度においてのみ,おこなうことができる。

典型例は,店舗の構造が風営法に合致しているかの調査や,従業者名簿が備えられているのかを確認するための立ち入りだ。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)

(報告及び立入り)
第三十七条 公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、風俗営業者、性風俗関連特殊営業を営む者、特定遊興飲食店営業者、第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業を営む者、深夜において飲食店営業(酒類提供飲食店営業を除く。)を営む者又は接客業務受託営業を営む者に対し、その業務に関し報告又は資料の提出を求めることができる

2 警察職員は、この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入ることができる。ただし、第一号、第二号又は第四号から第七号までに掲げる営業所に設けられている個室その他これに類する施設で客が在室するものについては、この限りでない。
一 風俗営業の営業所
二 店舗型性風俗特殊営業の営業所
三 第二条第七項第一号の営業の事務所、受付所又は待機所
四 店舗型電話異性紹介営業の営業所
五 特定遊興飲食店営業の営業所
六 第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業の営業所
七 前各号に掲げるもののほか、設備を設けて客に飲食をさせる営業の営業所(深夜において営業しているものに限る。)
3 前項の規定により警察職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

風営法の解釈運用基準では,この立入りについて,立入り等は調査の手段でありその実施に当たっては、国民の基本的人権を不当に侵害しないよう注意する必要があり,法の目的の範囲内で必要最小限度で行わなければならないと規定している。

また,職権を濫用し,又は正当に営業している者に対して無用な負担をかけるようなことがあってはならないと規定し,立ち入りができる範囲を極めて限定的に解釈している。

この解釈運用基準では,具体例として,保健衛生上の見地から調理場の検査を行うこと等は認められないと規定している。

今回問題となっているコロナウイルスの感染拡大防止という目的は,風営法の目的を達成するために必要なものではなく,風営法に基づく立ち入りは認められないのだ。

国の官房長官たるもの,法律の解釈運用には慎重に吟味して発言していただきたい。

 

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について 警察庁安全局長通達

報告及び立入りについて(法第37条関係)

立入り等は調査の手段であり、その実施に当たっては、国民の基本的人権を不当に侵害しないように注意する必要がある。

(1) 立入り等の限界

立入り等の行使は、法の施行に必要な限度で行い得るものであり、行政上の指導、監督のため必要な場合に、法の目的の範囲内で必要最小限度で行わなければならない。

したがって、犯罪捜査の目的や他の行政目的のために行うことはできない

例えば、経営状態の把握のために会計帳簿や経理書類等の提出を 求めたり、保健衛生上の見地から調理場の検査を行うこと等は、認められない

また、立入り等の行使に当たっては、いやしくも職権を濫用し、又は正当に営業している者に対して無用な負担をかけるようなことがあってはならない

(2) 報告又は資料の提出の要求と立入りの関係立入りは、直接営業所内に入るものであるため、営業者にとって負担が大きいので、報告又は資料の提出で行政目的が十分に達せられるものについては、それで済ませることとし、この場合には立入りは行わない。

弁護士ドットコムニュースさんからの取材 20200723追記

本コラムの内容について,弁護士ドットコムニュースさんから取材を受け,コメントが掲載されたよ♪

コロナ対策、「夜の街」に風営法で立入検査ってアリ? 「権力の濫用」との指摘も

https://www.bengo4.com/c_18/n_11515/

 

HUFFPOSTさんからの取材 20200726追記

本コラムの内容について,HUFFPOSTさんから取材を受け,コメントが掲載されたよ♪

風営法で立ち入り、同行はOK?「法的にグレー」と専門家【新型コロナ】

風営法に基づく警察の立ち入りに同行する行政の調査が、夜の繁華街で進んでいる。事実上コロナ対策が目的だが、法律上認められるのか?識者に聞いた。

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5f1bd89bc5b6296fbf43062e?ncid=tweetlnkjphpmg00000001

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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