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出会い系喫茶経営者が風営法違反(無許可営業)で逮捕のニュースは誤認逮捕か!?

弁護士 若林翔 2019/03/13更新

風営法の無許可営業について

風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の無許可営業での逮捕事例については,何度かこのHPで解説している。

よく出てくるのが,以下の2つのケースだ。

キャバクラやホストクラブなどの接待をする飲食店で必要となる風営法の1号営業の許可を取らずに営業していたガールズバー,ゲイバー,サパーなどが接待行為をして,逮捕されるケース。

キャバクラやホストクラブの実質的な経営者やオーナーが深夜営業や客引き行為などによる摘発を逃れるため従業員等の名義で許可を取るなど,実質的な経営者とは別人名義で1号許可を取っていて逮捕されるケース。

無許可営業,名義貸し,キャバクラ経営者ら逮捕!?

風営法の「接待」とは?接待の定義と弁護士の経験から導いた警察が重視する4つの判断基準

風営法の1号許可を受けずに接待営業をした場合に,無許可営業となる。

その罰則は,2年以下の懲役200万円以下の罰金だ。

出会い系喫茶経営者が風営法違反(無許可営業)で逮捕されたニュース

今回の事例では,出会い系喫茶が,無許可営業で逮捕された。

“出会い系の女性客”実は従業員 届け出と異なり初摘発

知らない男女が出会う、「出会い系喫茶」をうたいながら、実際は、従業員の女性に男性客を接待させるなどした疑いで、経営者らが逮捕された。

東京・新宿区の「モモカフェ新宿一番街」経営者の〇〇容疑者(37)らは、出会い系喫茶を装って、女性従業員に女性客のふりをさせて、個室で男性客相手に缶ビールやスナック菓子などを提供し、接待をさせた疑いなどが持たれている。

風営法改正後に、出会い系の店の営業実態が届け出の内容と違うとして、無許可営業で摘発されたのは、全国で初めて。

https://www.fnn.jp/posts/00413861CX

このニュースを素直に読むと…

出会い系喫茶なのに,サクラの従業員を使って接待させた。

接待させるためには風営法の1号営業の許可が必要でしょ。

それなのに1号営業の許可を取っていないから,無許可営業で逮捕したよ。ということだろう。

しかし,以下でみるように,この逮捕には大きな間違いがある。

風営法上の出会い系喫茶営業とは?

出会い系喫茶営業とは「店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む。)を希望する者に対し、当該店舗内においてその者が異性の姿態若しくはその画像を見てした面会の申込みを当該異性に取り次ぐこと又は当該店舗内に設けた個室若しくはこれに類する施設において異性と面会する機会を提供することにより異性を紹介する営業(当該異性が当該営業に従事する者である場合におけるものを含み、同項第一号(ソープランド)又は第二号(店舗型性風俗店)に該当するものを除く。)」だ。

分かりづらいね。

ざっくりというと,エッチなことをしたい異性の出会いの場を提供する店舗だ。

本件逮捕は誤認逮捕?

上記の出会い系喫茶営業の定義は,風営法2条6項6号・風営法施行令5条に記載されている。

注目すべきは,風営法施行令5条の以下の文言だ。

当該異性が当該営業に従事する者である場合におけるものを含み」と記載されている。

そして,風営法の解釈運用基準第5条6項1号では,上記文言の解釈について以下の記載がある。

「「当該異性が当該営業に従事する者である 場合」、すなわち客の面会の相手方として異性の客を装った者を使用している 場合(営業者と雇用関係にはないが実態として営業者の事実上の指揮下にある ような者等を紹介する場合を含む。)も、当該営業に含まれる。

すなわち,

出会い系喫茶の従業員が紹介される場合や従業員をサクラとして紹介したり,面会の機会を提供することも出会い系喫茶営業に含まれるのだ。

面会の機会を提供されたサクラの従業員が,面会中,「接待」と言えるような談笑などをしたとしても,それはこの出会い系喫茶営業の想定内のはずだ。

だとすると,本件逮捕は,法の適用を誤った誤認逮捕ではないか?

正直,当法律事務所の弁護士の経験から,警察官も検察官も風営法については詳しくないなと思うことがよくある。今回のケースでも風営法について詳しくない警察が法解釈を誤って逮捕した可能性がある。

この出会い系喫茶経営者に風営法に詳しい弁護人がつき,法の適用についてしっかりと整理した意見書を検察庁に提出すれば,早期の釈放を勝ち取れ,結果不起訴性分となる可能性があるのではないかと考える。

出会い系喫茶営業に関する風営法,風営法施行令,風営法解釈運用基準の条文

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

(用語の意義)
第二条
6 この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
六 前各号に掲げるもののほか、店舗を設けて営む性風俗に関する営業で、善良の風俗、清浄な風俗環境又は少年の健全な育成に与える影響が著しい営業として政令で定めるもの

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令

第五条 法第二条第六項第六号の政令で定める営業は、店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む。)を希望する者に対し、当該店舗内においてその者が異性の姿態若しくはその画像を見てした面会の申込みを当該異性に取り次ぐこと又は当該店舗内に設けた個室若しくはこれに類する施設において異性と面会する機会を提供することにより異性を紹介する営業(当該異性が当該営業に従事する者である場合におけるものを含み、同項第一号又は第二号に該当するものを除く。)とする。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準

平成30年1月30日警察庁生活安全局長 通達 

6 出会い系喫茶営業(法第2条第6項第6号)

(1) 令第5条に規定する営業には、いわゆる出会い系喫茶営業が該当するが、こ れは、店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすた めの交際(会話を含む。)を希望する者に対し、

1 当該店舗内においてその者が異性の姿態若しくはその画像を見てした面会
の申込みを当該異性に取り次ぐこと又は

2 当該店舗内に設けた個室若しくはこれに類する施設において異性と面会す
る機会を提供すること により異性を紹介する営業をいう。

1及び2の営業形態のいずれについても、「面会の申込み」を行う者は男女 のいずれであるかを問わず、また、「当該異性が当該営業に従事する者である 場合」、すなわち客の面会の相手方として異性の客を装った者を使用している 場合(営業者と雇用関係にはないが実態として営業者の事実上の指揮下にある ような者等を紹介する場合を含む。)も、当該営業に含まれる。ただし、個室 付浴場業又は店舗型ファッションヘルス営業に該当する営業は除かれる。

(2) 令第5条中「店舗」の意義については、第3中3を参照すること。

(3) 令第5条中「専ら」の意義については、法第2条第6項第3号等の「専ら」
と同義(3(2)を参照すること。)であるが、「専ら」に該当するかどうかは、 当該営業を営む者の意図及び当該営業の実態を踏まえて判断することとなる。 具体的には、その営業形態や広告・宣伝の方法等の客観的な要素を勘案するこ とにより判断する。

(4) 令第5条中「一時の性的好奇心」とは、典型的には「あるときふと催した性 的感情」という意味で、結婚あるいはこれに準ずる安定した関係を異性と築き たいとの真摯な動機に基づく性的感情を除く趣旨である。すなわち、ここにいう「一時の」とは、期間の長短という量的なものではなく、当該営業を通じた 交際の相手方が偶然居合わせた面識のない異性であるという質的な視点で捉え るものであるため、例えば、この種の交際が結果として長期化する場合があっ たとしても、「一時の性的好奇心を満たすための交際」と判断されることとなる。

なお、この場合の「交際」には、会話を含むものと規定されているが、これ は「交際」に会話が含まれることを確認的に規定したものである。

(5) 令第5条中「面会」とは、人と直接に会うことをいう。

(6) 令第5条中「姿態若しくはその画像を見て」と規定したのは、人の姿態を直接見せるもの(マジックミラー等を通して見せるものを含む。)のほか、写真、 静止映像やビデオの映像のような「動く映像(動画)」を見せることも含む趣 旨である。また、一般的に全身を見せる場合だけでなく、顔だけを見せるもの もこれに含まれる。

(7) 令第5条中「当該異性に取り次ぐこと」とは、面識のない異性との一時の性 的好奇心を満たすための交際(会話を含む。)を希望する者からの面会の申込 みについて、当該面会の申込みを当該異性に伝達することをいうが、面会自体 が店舗内で行われることを要しない。

(8) 令第5条中「これに類する施設」とは、個室に準じた区画された施設をいい、 例えば、他から見通すことが困難となるように部屋がカーテン等で個々に区分 されているもの等をいう。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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